医療保険とは、「病気やケガの治療にかかる費用を一部負担してくれるもの」ですが、その必要性や健康保険との違いについて理解されている方は、あまり多くはないのではないでしょうか?
この記事では、健康保険ではカバーしきれない民間の医療保険のメリットなどを分かりやすく解説していきます。
目次
1. なぜ医療保険に入るのか?
医療保険にいざ入ろうと思っても、
「たくさん種類があって、どの医療保険を選べばいいか分からない」
「医療保険に加入したいけど、毎月の保険料負担が心配」
など、様々な問題があります。
必要以上に医療保険に入るのは、お金がもったいないですよね。
そこで、正しい知識を得ることで、どの医療保険が本当に必要か検討しましょう。
医療保険を検討する上で大事なポイントは
- 健康保険だけではカバーできない費用
- 高額療養費
- 先進医療
- 差額ベッド代
- 節税にもなる
ということです。
どういうことなのか、以下で詳しく解説していきます。
1-1. 公的な健康保険と民間の医療保険
病気・ケガでの入院や治療に備える保険には、2種類あります。
1つ目は皆さんが既に加入している健康保険です。
職業や年齢などにより種類は異なりますが、会社員の方は健康保険(社会保険)に加入する決まりになっており、自営業の方や退職された方など健康保険に加入されてない方は国民健康保険に加入しなければなりません。
日本では国民皆保険のため、必ず誰しもが健康保険の対象となっているのです。
2つ目は民間の保険会社が販売している医療保険です。
こちらは任意の医療保険なので強制加入ではありませんが、健康保険だけでは賄えない部分をカバーしてくれる優れものです。
では、なぜ健康保険に加入しながらも民間の保険会社で医療保険に加入しているのか詳しく解説していきます!
2. 健康保険について解説
2-1. 健康保険の種類
健康保険は、職業や年齢などにより様々な種類があります。
みなさんは、ご自身がどの健康保険に加入しているかご存知ですか?
確認する方法は、持っている保険証の表に記載されています。
健康保険には主に5種類あります。
・自営業の方や、会社を退職された方は国民健康保険。 ・会社にお勤めの方と、扶養しているご家族は社会保険(組合健保または協会けんぽ)。 ・公務員・教職員の方と、扶養しているご家族は共済組合。 ・船舶の船員の方と、扶養しているご家族は船員保険。 ・75歳以上の方と65歳〜74歳で一定の障害がある方は後期高齢者医療制度。
に加入する決まりになっています。
2-2. 健康保険の保障内容
健康保険にはどのような保障があるのかご存知でしょうか?
病院でのお会計の際に、医療費が3割負担で済むとご存知の方も多いと思います。
保険証を提示することにより、健康保険から治療費の7割を支払ってもらえるので、実際にかかった治療費の3割負担で済んでいるのです。
国民皆保険とは、誰もが安い医療費で治療を受けられるように医療費を一部負担する仕組みになっています。
ただし、年齢により負担割合は異なります。
6歳未満であれば 2割負担。70歳未満の方は3割負担。
70歳〜74歳までの方は2割負担。
75歳以上の方は1割負担となっていますが、現役並みの所得がある場合は3割負担となります。
他にも
- 高額療養費
- 入院時食事療養費
- 出産育児一時金
- 埋葬料
などの給付が受けられます。
2-3. 高額療養費制度ってなに?
これは、それぞれの年収に応じて1ヶ月の治療費の自己負担限度額を超えた金額を保障してくれるものです。
自己負担限度額は所得や年齢により異なります。
例えば、70歳未満で年収約370万〜約770万円の場合、健康保険適用前の治療費が100万円の場合、医療費は3割負担なので、30万円が窓口負担となります。
しかし、月ごとの自己負担額には上限があるので、高額療養費制度を利用することによって上限を超える部分は健康保険から給付されます。
したがって実際にかかる医療費の計算式は、
80,100円+(治療費100万円-267,000円)×1%=87,430円
となり、窓口で30万円払っても申請すれば
30万円-87,430円=212,570円
が、戻ってくるのです。
つまり、100万円の治療を受けても実際に支払うお金は87,430円で済むということになります。
70歳以上の場合、年収370万円以上の方は上述した通りですが、年収370万円以下の方は一律となり、自己負担額は57,600円です。
また上記いずれの場合でも、4か月目以降は「多数該当」となり、自己負担額は44,400円となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
年収所得
- 約1160万円以上
- 約770万〜約1160万円
- 約370万〜約770万円
- 約370万
- 住民税非課税
自己負担限度額(ひと月)
- 252,600円 + (医療費 - 842,000円) × 1%
- 167,400円 + (医療費 - 558,000円) × 1%
- 80,100円 + (医療費 - 267,000円) × 1%
- 57,600円
- 35,400円
4ヶ月目以降の多数該当
- 140,100円
- 93,000円
- 44,400円
- 44,400円
- 24,600円
2-4. 高額療養費だけではカバーしきれない?!
高額療養費制度を使えばどんなに治療費が高額になっても安心な反面、高額療養費ではカバーできない費用もあります。
例えば、入院中の食事代等の一部負担・先進医療にかかる技術料・差額ベッド代・病院までの交通費や入院時の日用品や雑費・入院証明書発行費用・お見舞いのお礼など様々な費用があります。
更には病気で働けなくなったり、入院期間中の収入減少などが起こるかもしれません。
そのため民間の保険会社が販売する医療保険で、健康保険ではカバーできない部分を補えれば、病気になっても困らないようにしておくことができます。
日本の医療環境やニーズに合わせて、徐々に進化している医療保険ですが、数多く存在する民間の医療保険についても分かりやすく解説していきます。
3. 民間の医療保険について解説
3-1. 民間の保険会社が数多く存在する?
法律で義務付けられている健康保険への加入とは違い、民間の保険会社が販売する医療保険は、任意加入なので自分で選択することができます。
どちらの保険も、病気やケガによる治療や入院に備える保険ですが、みんな健康保険に加入しているのに、多くの方が民間の医療保険に加入しているのが実情です。
反対に、民間の医療保険は必要ないと思っている方もいます。
貯金が十分あって、健康保険ではまかなえない部分を、支払っても家計に余裕のある方や、病気にならないかもしれないから入らないという方もいます。
3-2. 健康保険だけではカバーしきれない?!
3割自己負担分の治療費が高額になってしまっても高額療養費制度を活用する事で上限額より上回った部分は戻って来ますが、あくまでも1ヶ月の自己負担額の上限なので、月をまたいで入院してしまうと自己負担分はお金を支払わなければいけません。
例えば70歳未満で年収が約370万円〜約770万円の場合、3月30日~4月10日まで入院し3月も4月も100万円以上治療費が掛かってしまった場合、高額療養費制度を使っても
87,430円×2か月分=174,860円
掛かります。
更に入院時には高額療養費制度が適用になる医療費とは別に全額自己負担となる費用がいくつかあります。
例えば、差額ベッド代やパジャマのレンタル・テレビカード等の雑費、交通費、そして健康保険の対象になっていない先進医療の治療については全額自己負担となります。
3-3. 先進医療ってなに?
先進医療とは、簡単に言うと厚生労働省が認める、保険の適用とするかどうか評価中の医療技術であり、保険診療の併用を認められている最先端の治療法です。
よく知られているのが重粒子線治療・陽子線治療と呼ばれるがんの治療です。
従来の放射線治療と違うところは、ピンポイントでがん細胞に放射線を照射できるため、身体への負担が少なく、副作用を軽減する効果が期待できる優れものですが、まだ健康保険に認可されていないため、約300万円掛かると言われている先進医療の技術料が全額自己負担となってしまいます。
がんの他にも様々な先進医療があり、もしお医者様に先進医療の治療法があると教えてもらっても「全額自己負担だしお金がないから受けられない…」なんて事にならないように民間の医療保険で準備しておくことができます。
一般的に医療保険に特約として付加することができ、各保険会社により異なりますが、月々の保険料も追加で数百円程度となっています。
3-4. 差額ベッド代はいくらかかる?
正式には特別療養環境室料といい、入院患者が大部屋ではなく個室などを希望した場合にかかる全額自己負担費用のことです。
また治療内容によっては病院側から特別療養環境室を勧められる場合がありますが、患者が同意すれば、全額患者の自己負担となります。
健康なうちは大部屋でも大丈夫と思っていても、実際に重い病気などで入院治療しなければならなくなった際には個室を希望される方は多いです。
地域や病院などにより差額ベッド代は異なりますが、平均で約6,000円といわれる差額ベッド代ですが、毎日この金額がかかってくるため、1ヶ月の入院になった場合には治療費とは別に6,000円×30日=18万円支払わなければなりません。
もし4ヶ月も長期入院なんてことになってしまったら、6,000円×120日=72万円も支払いが生じるということです。
3-5. 税金の優遇がある?
所得税と住民税などの税金ですが、実は保険にも関係してくるので簡単にご説明します!
毎年、確定申告や年末調整の際に所得控除を利用されている方も多いと思います。
配偶者控除など、控除されるものにはいろいろありますが、医療保険の保険料も生命保険料控除の対象となり、その年に支払った保険料をもとに計算された所定の控除額が総所得金額から控除されます。
つまり、保険料は税金の節約にもなるということです。
2012年に法改正され、旧制度と新制度があり複雑ですが、保険料を支払っていれば毎年保険会社からハガキなどで生命保険料控除のお知らせが届くので、簡単な手続きで生命保険料控除が受けられます。
医療費控除と間違う方も多いので注意してください。
4. まとめ
医療保険についてお話ししてきましたがいかがでしたか?
種類が多くあり、たくさん似たような医療保険が販売されていますが、正しい知識を持って、よく理解した上で保険選びをしないと、損をしてしまう可能性があります。
民間の医療保険に加入するメリットは、いつ何が起きるか分からない時代なので、病気になってしまっても健康保険でカバーできない部分のお金を準備しておくことができ、安心して日々の生活を送れることだと思います。
反対にデメリットとなるのはやはり保険料です。
いつどんな病気になるか分からない反面、一生健康で入院することもなく最期を迎えた場合には掛けてきた保険料は無駄だったと思うかもしれません。
よく保険は「お守りだから」と言われます。
でも、保険をかけているから健康でいられると聞いたときは素敵だなと印象的でした。
医療技術の進歩により、日本の平均寿命は延びていて嬉しい反面、入院の長期化・医療の長期化や、疾病の重症化のリスクが高まっているため、金銭的不安は最期まで付きまとうかもしれません。
精神的にも健康で過ごすためには、医療保険をうまく活用することで、ゆとりある老後を実現することができます。
数多くの保険会社がある中、医療保険だけでも様々な選択肢があります。仕組みを理解せず、月額だけで判断して加入してしまうのは危険です。
ネットや雑誌で紹介されている、医療保険ランキングや人気商品が、自分にも必ず合うとは限りません。
収入や加入目的により最適な医療保険を選択する必要があります。
膨大な情報量から、自ら勉強して理解するのはとても大変だと思います。
多くの保険会社の商品を取り扱い、熟知している保険のプロが、その人の収入や職業に応じて異なる、本当に備えるべき医療保険の金額や、女性に特化した商品を、毎月支払っていける金額の中で、適切な保険の選び方を、無料で情報提供させて頂きます!