よく、生命保険に加入後、数年経過したところで担当者から「転換」を勧められる事があるようです。多くの場合は、貯蓄性のある終身保険をベースにしている、定期付終身保険を契約している人にこの話が持ち込まれる傾向にあります。
この転換の説明の際、担当者はおそらく「保険料は変わらないのに、今より大きな保障にする事ができる」というような話をする事でしょう。保険について詳しくない一般の人なら、「それはお得」と勘違いしてしまうに違いありません。しかし実際には、「お得」とは無縁のシステムが用意されているのです。
定期付終身保険の終身部分には、解約返戻金が発生しています。加入後数年経過すれば、解約返戻金も発生していますので、加入者にとっては、いざという時に使えるお金という事になりますので、大切にしている人も多いはずです。しかし、転換をすると、新しく用意される大きな保障と引き換えに、この解約返戻金が失われてしまう事になるのです。通常、保障額を大きくすれば、保険料が上がるのは当然です。しかし、これまでに発生している解約返戻金を、頭金の代わりに充当してしまう事で、保険料を上げないで済ませているのです。
つまり、解約返戻金として発生していたお金を、大きくした保障の分の保険料として使ってしまうという事なのです。よって、保障額を大きくした後は、それまでにたまっていた解約返戻金はなくなり、いざという時に使えるはずのお金は失われてしまっているのです。さらに、大きくした保障の頭金として使われてしまったわけですから、掛け捨ての定期部分の保険料として消えていったという事になるわけです。
もちろん、これらのシステムを理解した上で転換を行う人もいるでしょう。これから保険料を増やして払うのはイヤだけど、保障はもう少し大きくしたい、といったような場合です。ですが、きちんと理解しないまま、担当者の勧めるがままに転換をしてしまった人には、非常に残念な結果となってしまったかもしれません。
こうした事を防ぐためには、担当者から「転換」という言葉が出たら、そのシステムを詳細に説明してもらう事が重要です。これまでの解約返戻金はどうなるのか、保険料はどのように変わるのか、変わらないのであれば、なぜ変わらないのか・・・などです。単純に、疑問だと思う部分を、遠慮なく聞いてみて、納得ができたのであれば良いのですが、納得ができないのなら、納得できるまで説明を求めるようにしましょう。