保険金の請求をしたのに「支払えません」と断られ、保険金を受け取る事が出来なかったという人が中にはいるようです。保険金不払いの多くは、保険会社による故意の不案内や、加入者の過失による失効などがあげられていますが、実はこれらの他にも、多くの保険金不払いを発生させている理由が存在しているのです。それが「告知義務違反」という加入者側による違法行為です。
通常、生命保険に加入する際には、告知を行わなくてはなりません。告知というのは、被保険者となる人の健康状態について質問に答えるもので、現在の健康状態だけでなく、過去の病歴や入院歴などについても記入する事になっているのが一般的です。この告知の内容によっては保険引き受けができなかったり、特別条件がついたりするなど、保険加入ができるか否か、あるいは加入に関する条件などが判断される事になるのです。
しかし、残念な事に、保険に加入したい一心で、告知の際にウソを記入してしまう人がいるのです。そして、何とか保険に加入したものの、後になってそれがバレてしまい、保険会社から告知義務違反を理由をして契約を解除されるなどしてしまうのです。
ただ、告知義務違反による契約の解除は、加入から2年以内の契約が対象であり、さらにその事実を知ってから1か月以内にこの解除権を行使しなければならないとされているのです。ここに問題があるのです。
実は、保険金不払いとなった事例の多くは、告知義務違反を行って加入し、それがバレずに2年以上経過した契約について起こっている事が多いのです。
加入者側にしてみれば「2年以上経過したから、もう告知義務違反を理由に保険金不払いが起こるはずがない」とタカをくくっているわけです。しかし保険会社側では、「あきらかに告知義務違反を故意に行って加入したもの」と判断できる契約については、保険金支払いの請求がなされても、支払いをしないといった対応を取っているのです。これが「保険金不払い」と騒がれる問題の実態でもあるのです。
常識的に見れば、詐欺まがいの行為によって保険に加入し、保険金を請求したがバレて支払いが受けられなかったという事なのですから、これを不払いと呼べるかどうかは疑問と言えます。生命保険は、相互扶助が基本です。ルールを守ったうえで正しく加入し、保険金を請求すれば不払いなどという行為は発生しないのです。こうした規律を乱す行為に対しては、保険会社も徹底した対応策をとる必要があるのです。