結婚した際に、住所変更などは手続きが簡単なため、すぐに行う人も多いのですが、結婚に伴って変更する必要があるのは、これだけではありません。
そう、保険金受取人です。
新しく作った家庭を大切にしていくのであれば、万一の際の保険金受取人を、独身時代に設定した「親」から「配偶者」に変更すべきなのです。もし、受取人を変更しないまま万一の事が起こり死亡してしまった場合、配偶者には保険金が渡らないという事になってしまうのです。
よく、遺産相続という言葉を耳にする事があると思います。この遺産相続といった観点からは、配偶者が3分の2を受け取る権利を有しているのですが、実は保険金というのは遺産としては扱われないのです。というのは、遺産というのは「死亡した時点で有していた財産」の事を指しているからなのです。
死亡保険金は、死亡した後で支払われるものですから、一般に言う「遺産」とはならず、「保険金受取人」として指定されている人に支払われる事になってしまうのです。つまり、結婚したのに受取人を独身時代の設定のままの「親」にしてあった場合、万一の際には配偶者には1円も渡らず、全て「親」に渡ってしまう事になるのです。そして、さらにその「親」が死亡したとしても、配偶者には法律上の相続権がないのです。
また、これは逆の場合にも言える事なのです。結婚だけでなく、例えば離婚した場合などでも、受取人の変更はきちんと行っておかなければ、後でトラブルとなってしまう事が考えられるのです。離婚したのに受取人の変更を忘れたばっかりに、もう離婚して関係のない人間に保険金が渡ってしまう・・・などです。
お金が絡むと、普段は良い人でも、変貌してしまうものです。受取人の変更を忘れてしまっていたから返してくれ、と言ったところでうまくいかないものです。変更を忘れていたのであれば、相手に落ち度はありません。全てこちらのミスという事になってしまいますので、注意が必要なのです。
生命保険は、自分に万一の事があった場合に、残された遺族の生活の保障を確保するために加入するものです。あるいは、死後の整理資金、老後の生活資金の確保のために加入しているはずです。こういった目的を持った生命保険である以上、その目的が満たされるようにするため、各種変更があった場合には、速やかに変更手続きを行うようにしなければ、全く意味をなさないものとなってしまいますので、注意して下さい。